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書評:管理ゼロで成果はあがる ~「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう




本書は日本では先駆的にリモートワーク、ホラクラシー、管理なしを取り入れた
定額制の受託開発会社として有名なソニックガーデンの倉貫さんが書かれた本です。

倉貫さんはブログでも常々情報発信をしています。
エッセンスはそのブログにも書かれていますので、本書が気になる方は読んでみると面白いと思います。


ところで、私の会社も2017年7月の創業以来、リモートワーク&フレックスでヒエラルキー構造なしで経営してきました。
自分自身がそういった組織は未体験だったため、どう設計していこうか迷ったのですが、
そのときに参考したのがブラジルのセムコやソニックガーデンさんでした。

※セムコは世界的に見ても先進的な超自律型組織のようで、ずいぶん前からリモートもフレックスも取り入れています

セムコについても本が出ています。
日本ではまだリモートやノンヒエラルキーな働き方の事例が少ないので、
こうした先進事例を本で読めるというのは、とてもありがたいことだと思います。


◆本書は誰向けか?

1番には、これからリモートやホラクラシーのような働き方を取り入れようと思っている会社の方かな、と思います。
特に柔軟性が高いスタートアップやベンチャーは参考になります。

また、本書は自由を謳歌することを賞賛するような本ではありません。

同書はワークスタイルの実現のアプローチとして、

第一段階:生産的に働く
第二段階:自律的に働く(制約を減らす)
第三段階:独創的に働く

としています。
当たり前のようですが、生産的に働くことが前提となって
リモートやノンヒエラルキーといった自律性が担保されるのです。

生産的じゃないのに自由であっては、単に緩いだけの組織になってしまいます。
生産性と自律性、つまり責任と自由はセットなのです。
事実、同社は利益をあげつつも、社員は原則残業なしで高い生産性で働いているようです。


私もリモート&フレックス、ノンヒエラルキーの働き方を実践しているなかで、
自律と単なる自由や放任の境目がよくわからなくなった時期がありました。

Netflixの本を読んであらためて「自由と責任」について考えたとき、
やはり生産的に働くこと、価値を生み出すことは前提であると認識し、
ワークスタイルを少しずつ変えていきました。


さて、実際には、生産的になること、自律的になること、独創的になることは順番ではなく、
同時に・相互に起こるものだと思います。

ただ、しっかり手堅くいくならば、やはり生産性を担保し
個々人が自律自走できるような組織になってから
足かせをどんどん外していくことが、バラバラ・空中分解にならない良い方法だと思います。


同書は当然ソニックガーデンの事例ではあり、エンジニア組織が舞台ではありますが、
特に第一段階・第二段階については汎用性があり、希少な実践事例であることから
徹底的に参考にすべきだと思われます。

一方で第三段階の独創性については、さまざまなアプローチがありますし研究もされていますから、
同書の内容も参考の1つとしておくのがよいと思います。



◆長年磨かれた内容

さて、同書を読んでみますと内容が非常にシンプルであることに気づきます。

たとえば、第一段階の生産的に働くについていえば、実現手法は

・チームでKPT(ケプト)を通じて業務を振り返って改善すること
※フレームワークは別にPDCAでもいいし、Start/Stop/Continueでもいいでしょう

・タスク管理や改善は小ロットで回していくこと
→これはいわゆるリーンの考え方と本質的には同じ

・会議で単なる報告はなくし、生み出すことに時間を費やす

・不要な社内手続きは排除する、情報をオープンにして性善説でまわす

・・・といったことです。


これら1個1個は個別にさまざまな本が出ており、「既知のこと」だと思います。
たとえばKPTはエンジニアの間ではよく使われる振り返りのフレームワークです。

が、これらをあえて本に載せたということは、
長年さまざまな試行錯誤があった結果として生き残った取り組みだということです。

そのへんから適当なノウハウを引っ張ってきて載せたのではなく、
濾過して純粋に残った方法論が書かれていることに価値があります。
Simplifiedではなく、Purifiedということですね。

だから、はじめはどれか取り組みの1個を取り入れてみるでも良いと思いますが、
可能であれば取り入れられるものはすべて取り入れる(もしくは代替手段で埋め合わせる)のがいいでしょう。

Purifiedされているので施策を積み重ねるというよりもアートに近いからです。
すべてがあって、はじめて調和がとれる感覚に近いです。


◆組織は一日にしてならず・・・小ロットでやる

ただ、矛盾するようではありますが、
組織は一日にしてならずだとも思います。

同社が長年取り組んできたからこそPurifiedされたということは、
一朝一夕で真似できるものではないということです。

どんな取り組みであれ、組織を変えるというのは時間がかかります。
方針や体制がかわっても、個々人が変わるのには時間がかかるからですね。


だからこそ、小ロットで小さく速く改善していくことが大事だと思います。
ホームランを狙って大ぶりすることは、平時の組織においては筋が良いとはいえません。

KPTをして毎週1個ずつ課題を解決する、余計な社内制度を1個減らしてみる、
会議のアジェンダを事前に用意することを当たり前にする、

そうしたことを1つ1つ積み上げていった結果として、
徐々に理想に近づいていくのかなと思います。


時間がかかるということは、いち早くはじめるべきということでもあります。
いち早くはじめて、毎週少しずつ改善して、複利効果でよくしていくようなアプローチが
大事じゃないかなと思うのです。





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