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コロナ治療薬として期待されるレムデシビルのギリアド・サイエンシズ (Gilead Sciences:GILD)について

今回はコロナ治療薬として強く期待されているレムデシビルを開発したギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences:GILD)について書きます。


●ギリアド・サイエンシズとは

ギリアド・サイエンシズは1987年に設立された若いバイオベンチャーです。
製薬企業は歴史ある会社が多く、創業年は下記のようになっています。

・ロシュ:1896年
・ファイザー:1849年
・ノバルティス:前身のバーゼル社1758年
・メルク:1668年
・テバ:1901年

後発医薬品専門であるテバですらも100年以上の歴史があるわけです。

同じくバイオベンチャーの雄とされたアムジェンは1980年創業です。
ギリアド・サイエンシズは業界では若い会社ですが、HIVや肝炎の治療薬が大ヒットし一時期は売上トップ10入を果たした飛ぶ鳥を落とす勢いの会社でした。

しかし、近年は売上を落とし12位となっているようです。

日本ではサンバイオやペプチドリームがバイオベンチャーにあたりますが、
創業はアメリカよりも20年、30年遅れたものでした。


●バイオ医薬品とは

ギリアド・サイエンシズが得意としているのはバイオ医薬品です。

1990年代後半は生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症など)を対象とした低分子医薬品がドル箱の時代でした。
しかし、新薬の特許は一般的に20年間程度であり、2010年ごろまでにこうした低分子医薬品は特許切れを起こして後発医薬品が参入し、売上を落とす宿命でした。
また、低分子医薬品は分子構造がシンプルであるがゆえに新しいネタの発掘が難しく、少々の改善ぐらいでは新薬として認められませんでした。

こうした背景から、製薬会社は高分子で研究開発が難しいバイオ医薬品に活路を見出したのです。
バイオ医薬品は研究開発が難しいためコストがかかります。
しかし、それゆえに模倣されづらい、もしくは特許が切れたあとも弱小の製薬会社は後発品を作れないという参入障壁があります。


なお、全世界、日本国内いずれにしてもバイオ医薬品の市場は大きく成長を続けています。



※引用:https://www.jetro.go.jp/ext_images/invest/reference/pdf/mr_Bio.pdf


●ギリアド・サイエンシズの強み

ギリアド・サイエンシズは抗ウィルス薬の研究を熱心に行っている会社であり、
古くはインフルエンザの治療薬(タミフルの名でロシュにライセンス供与)からはじまり、
HIVの治療薬(ツルバダ)、そしてC型肝炎治療薬(ハーボニー)などが代表的なヒット作です。

同社の売上構成は下記のようになっています。



※引用:http://investors.gilead.com/static-files/36dc002c-bce8-4242-b087-f4e388d6b606


HIV治療薬、予防薬は次々と改善をかさねて毎年売上を伸ばしています。
いまでは1日1回の経口投与で治療できるようになっており、一時期は不治の病と恐れられたHIVもいまやコントロール可能な病になりました。

驚くべきはC型肝炎(HCV)の売上推移です。ハーボニーは1日1錠経口投与で済む人気の医薬品であり、C型肝炎は同社にとってまさにドル箱でした。
しかし、1錠約1,000ドルというあまりにも高額な値付けに国、保険会社、消費者から強い批判にさらされ、競合の登場もあって値引き。

また、治癒率が高かったことから患者数自体が近年は減少しており、市場が縮小しています。
ハーボニーをはじめとした医薬品の効果が高かったがゆえに市場が消えるというのは皮肉ではありますが、WHOは2030年には撲滅を目指しているそうです。


また、現在はM&Aを進めて抗がん剤や炎症性疾患の治療薬なども開発しており、複数のパイプラインがあります。



●レムデシビルがなぜ期待されているか

レムデシビルはもともとエボラ出血熱の治療薬として開発された抗ウィルス薬ですが、エボラ出血熱に対しては効果を得られませんでした。
しかし、細胞実験、猿での実験、臨床での投与からレムデシビルはCovid-19に効果がある有望な医薬品として再注目されています。
レムデシビル以外の医薬品、たとえば日本のアビガンなども治療薬として期待されているものの、レムデシビルが頭一つ抜けているという状態のようです。


Two thirds of COVID-19 patients improve after Gilead drug: NEJM

Gilead’s Remdesivir Can Hardly Live Up to the Hype


もちろん、正式には大規模な治験を経なければ新薬として承認されることはありません。
また、レムデシビルだけでなく、ゆくゆくは様々な競合の医薬品も出てくるでしょう。

レムデシビルは特にコロナの初期症状時に効くとされており、インフルエンザのタミフルに近いポジションのようです。
そうした点では、生活習慣病やHIV、C型肝炎の薬ほどの安定的なドル箱にはなりえないかもしれませんが、
一方でコロナは撲滅できるようなものではなく、SARS、MERSのように定期的に流行するものです。

そうしたことを考えると、ギリアド・サイエンシズの成長を支える3本目の柱となる(2本目の柱であったC型肝炎は消滅の危機ですが)になること、
そしてコロナの混乱を沈静化することが期待されているわけです。


ギリアド・サイエンシズの株価はC型肝炎治療薬の売上減少とともに下落してきたわけですが、
ここにきて株価が盛り返してきているのは、そういった事情からなのですね。

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